劇場入口、チケット売場、呆然と立ち尽くす2名。
無邪気に浮かれる3名。

月曜日の21時30分の最終上映に間に合うように、
5名を乗せ出発したハイエース「ソレイユ」号は加古川マイカルに
それなりの時刻に到着。1名はエスカレーターを駆け上る浮かれぶりを発揮。
回りの4名の失笑を承る。微笑ましきかな、映画鑑賞会の一風景。

券を買う段階にステージをあげ、再度の上映開始時間の確認を電光掲示板にて行う。
「ターンエーガンダムU月光蝶」。
流れ往く発光文字列。意味が理解できる2名は、硬直状態に陥いりつつある体から、
最期の神経伝達物質を分泌させ、首を索敵方向に最短距離にて移動させた。

上映スケジュールには、こう記されていた。
「ターンエーガンダムU月光蝶」。

この、黒歴史の悲劇を繰り返す、いや、我々の後に続く者には
同じ伝を踏んで欲しくない、そんな思いで一杯の胸。
「月」曜日は「月」光蝶。

硬直した2人はどちらとも無く、浮かれた3名に説明を始めた。
「来る曜日、間違えた」
サイマルロードショウの苦渋に満ちた説明、月光蝶は後編。
悪雲に包まれる5名。

そして、1名はチケット売場の横にて、不幸にも、一枚のポスターを発見する。
ファミリーマートにて前売り券ご購入の方には、
「ターンエーメカニカルポスタープレゼント」。

1名の記憶は2月の上旬に遡り始める。
それは、同時に血流速度および心拍数の上昇、すなわち血圧の上昇お意味していた。
安易に言い換えると、「ぶち切れ」である。

2月の確か1日だったような、ターンエーのポスター付き前売り券を入手するため、
初の加古川マイカルに上陸。何故か映画1000円だったので、計画的行動にて、
ハリポタを鑑賞。予告編の指輪物語に涙ぐみ、ハーマイタンが出てくるまでだらけて、
登場してから引き込まれ、幕の内弁当な満腹感のみ満たされた感じの、
肉喰いてぇ的な鑑賞後のやりきれない思いというか、指輪物語の期待感で
一杯の状態にて、サービスカウンターへと足を向けた。
「ターンエーガンダムの前売り券下さい」
「当劇場では扱って居りません」
ありゃ、?そうなの?ってことは・・・
「ファミマ前売り券のポスター特典は如何なのよ?」
いかにもチーフ的存在のメガネ君にが何となく対応される。
「多分、扱っていないと思われますねぇ」
たしかにオフィシャルHPでも、該当しない劇場がありとの記述も在った事だし、
この劇場の擬似アメリカ空間も清潔な感じも気に入ったので、その場は、
指輪物語のストラップ付き前売り券を買って、退散したのだった。

「ターンエーメカニカルポスタープレゼント」。
貼ってあるサンプルは、1名の目には、大層輝いて見えた。
そのとき、1名の右手には、携帯電話が握られていた。
「ぶち切れ」という名の危機的状態のはけ口の生贄として、
携帯電話が床に打ち付けられたのは、まっとう自然な摂理であったのは
間違いないことは、未来の歴史家が証明してくれる事であろう。

右手からのフォロースルーの最期の瞬間に、
脳みそからの信号「平面的に地面と接触」は間に合わなかった。
右手からすり抜けた携帯電話は、地面のカーペットに上方角から衝突。
時間軸がスローモーションに駆け抜ける視覚神経が伝達する映像には、
吹っ飛ぶ携帯からめくり落ちる電池の蓋、および電池がはっきりと見えた。

「うわ」
携帯の液晶は真っ黒だった。
「あ、電池がはいっていないもんな」。
電池を入れる。電源を入れる。
見慣れない黒いオビが横一文字に伸びていた。
「あー、蓋、蓋。これが無いとなぁ」。
電池の蓋を拾い上げ、無意識の儀式にて電源を落とし蓋を閉め電源を入れる。
見慣れない黒いオビが横一文字に伸びていた。
電源を落とし、再び入れる、又落とし、再び入れる。
見慣れない黒いオビが横一文字に伸びていた。
それと同時に、約2年間付き合ってきた携帯とは異なる手とのフィット感。
太くなった上部から、内臓が見える。
見てはいけない物を見てしまった。急いで、力ずくで元の形状に戻す。
悪夢は終わった、慣れ親しんだ携帯、とりあえず外見は。
安堵の息とともに電源を入れなおす。
見慣れない黒いオビが横一文字に伸びていた。


とりかえしのつかないことをしてしまった。

しょうがないので、月光蝶を見ていくことにした。

前回のハリポタ鑑賞の時から気になっていた、美味そうなポップコーン。
値段的なことは置いといて非常に映画鑑賞気分にマッチする美味さだったので、
幾分平常心を取り戻す。
ああポップコーン美味い。バターかけてもらったんで、手がヌルヌルだが・・・

て、いうか、貸しきり状態。本当にこの5名しかいない・・・
日程的に、月曜日に月光蝶を観劇する人はなかなかいない筈ってのは兎も角
なんだがにしても、そこそこの劇場を貸しきりというのは気分がいいものである。
だが、この客の入りは今後のガンダム安定供給体制のアレコレにも影響がありそな
気分なんで、ちょいと不安だったりした。

で、肝心の映画である。
戦闘シーンが続く。戦闘の合間にストーリー回し的な会話。

TV版では、緊張感がある戦闘シーン。
ターンエーの戦闘には、軍事的作戦の意味合いよりも、
危機的状況を回避するための手段としての戦闘「的」シーンであった。
のだが、その理由付けがさらっと流されて、刺激物のみが垂れ流される。
テンションがずっと高ければ、ソレが平常となり平均で基準となる。
自分の意思をもったロラン君には、戦闘を通じての発見や成長があまりない。
ターンエーの戦闘には、後には事象の移り変わりという結果しか残さない。
いわゆる普通のガンダムでは、戦闘後の方にウエイトがあり、重要であるのだが。

1名はギャロップとザクのツーショットに興奮していた。
かたや1名は明確な理由付けが薄いアクションに辟易していた。
結論:
月光蝶は、日活ろまんポルノではなく、アイドル女優系アダルトビデオである。
ガンダムにおける戦闘シーンを、エロ映像の絡みと置き換えるよってに。

あ、主要キャストが月にて大騒ぎしている際の、地球上でのホノボノした
ミリシャVSディアナカウンターのやり取りの対比が、∀らしくてよかったです。
リリ嬢のココアヒゲをミドガルト目撃シーンがカットされてて落胆。
やっぱ∀は美味そうな飲み食いってのが主要テーマとリンクするので残念だったり。
でも、前述のディアナカウンター空中から肉強奪があるから許しちゃう。


確実に「月の繭」で泣くと確信して見にきていた1名は、泣くことが出来なかった。
そのことについて、1名は、失敗作と考えた。
だが、どうすれば納得する、「俺」ガンダムになるのかという問いに対しては、
決定打を出すことが出来ない1名だった。
明日、「地球光」を見てから考えよう。とりあえず。

翌日、ファミマの前売り券が、上映開始「前」売券ではなく、
当人が劇場に見に行く「前」売券であることが発覚した。
躊躇なく、本日鑑賞予定の5枚を購入した。

メカニカルポスター、クリアカラー∀プラモ、パンフレット、
ポップコーン(中)、ダイエットペプシ(中)、入場券。
もち、ポップコーン注文の際の合言葉は、
「バター、つゆだくで」
今回は5名以外にも、パラパラというか、7・8名観客がいたりしました。

地球光。
序盤は、編集というよりも、時系列に並べられたアルバムを覗き見るような
処理にたじろぐものの、まあ、納得できる作品だったです。
この後、続けて月光蝶なら、個人的に評価の低かった月光蝶も、
これはこれでアリかなぁと、思えるような気がします。
でも、月光蝶の致命的な間違いを上げるとするならば、
∀っていうMSは、地面に足がついたアクションが生えるという事。
すなわち、空中戦やら宇宙戦では、イマイチ映えない。
地球光では、序盤の対ヴォドム戦の省略が気になってしまった人は多いと思います。
走る∀、ふんばる∀、ジャンプ(飛ぶではなく)する∀。
これほど地上でのビームサーベルを使った殺陣が映えるMSはいないと思います。

TV版は、個人の織り成す水滴が時代を動かす濁流となる積み重ねが、
丁寧に描かれ、役職ではなく人がいる、という面白さがあった。
だが、集団によって翻弄される個人という大きな話を描く映画版。
圧倒的に短い時間に、2時間以上を飽きさせずに一気に見せる構成。
そう考えると、地球光、月光蝶は、最善の策に思えるのだが、
あえて言わせていただくと、映画化っていう企画自体に、
無理があったのではないかと思います。
だが、これはTV版を見た人の意見である。
TV放映時の視聴率を考えると、TVを見ていない人、
もしくは、ガンダムを知らない人が、この作品に接する確立の高さ。
初見の人の評価とは、いったいどーなの?
今回の5名のうち、ターンエー未鑑賞に1名に話を聞いた。
月光蝶:話、全然わからへん?
地球光:誰が敵で誰が味方なん?

総評:
とりあえず、地球光から見るのがいいと思います。

後日談:
携帯電話がかなり不便な状態。
うーん困った。って事で、時期主力携帯を検討する。
もうじきJ本ではSH51がリリース。
なんとなく夢の21世紀携帯って感じでイイ感じであるが、
幾分お値段のほうが&折畳式ってのがネックである。
そこでT06なんだがSH08の液晶を見ちゃうと、ああ悩ましい・・・

そのまた後日談:
スペックオタクで貧乏なおいらはSH08を検討するが、
携帯屋にてSH08がT06よか1万円高価なのを目視で確認するやいなや、
T06に決定。だが、JAVAで某ゲームをダウンロードした際に、
「T06はスプライト弱いから不適切な表示になるかも知れないよ」
と警告が出たり、この機種にフラッシュが付属してるのは、ひょっとすると、
ディフォルト使用でも画面が暗いから、その対処ではないのだろうか?
やら、やっぱ、液晶のコントラストやらがイマイチだったり、
個人的なことだと、シャープの操作系に慣れていたりと、多少後悔ぎみ。
だが、やはり決定打となったのは、
新51シリーズやったら、どうやら「スペハリ」が移植決定らしいと言ったところでしょうか。

でも、T06も携帯としてはいい感じである。
発信先より、メールフォルダに自動振り分け。やら、
アドレス帖に1人につき、電話番号とメアドを2件まで登録できたり。
などなどイイ感じである。なんといってもストレートタイプやしね。